港湾運送事業
港湾運送事業について
日本国内の港湾(港湾運送事業法施行令の指定港湾及び港則法に基づく港)内または港湾運送事業法施行規則で指定する区間(指定区間)における船舶による貨物運送には、港湾運送事業法が適用されます。
港湾運送事業のイメージ
- 港湾運送事業については、労働者派遣事業法に基づく労働者派遣は禁止されているので注意が必要です。(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第4条第1号)
港湾運送事業の種類
港湾においてする「他人の需要に応じて」行う行為であって、次に掲げる行為をいいます。
ただし、「営利」を目的としない場合であっても港湾運送事業に該当します。(第2条、第3条)
- はしけ(艀)、いかだ(筏)は、法律用語上は平仮名ですが、説明文の読みやすさを考慮し、漢字で記載しています。
事業の種類 | 旧業種区分 | 事業の概要 | |
① | 一般港湾運送事業 | 1種元請 ステベ |
荷主または船社の委託を受けて、委託者に代わって貨物の受け渡しを行い、受渡行為に先行または後続する船内荷役、はしけ運送、沿岸荷役、いかだ運送を一貫して行う事業 |
② | 港湾荷役事業 | 2種船内 (船内荷役行為) |
船舶への貨物の積込みまたは船舶からの貨物の取卸し |
4種沿岸 (沿岸荷役行為) |
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③ | はしけ運送事業 | 3種 |
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④ | いかだ運送事業 | 5種 |
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⑤ | 検数事業 | 船積貨物の積込み、陸揚げに際して行う貨物の個数の計算または受渡の証明 | |
⑥ | 鑑定事業 | 船積貨物の積付に関する証明、調査及び鑑定 | |
⑦ | 検量事業 | 船積貨物の積込み、陸揚に際して行う貨物の容積または重量の計算または証明 |
- 港湾運送事業の詳細及び手続については、お近くの海事代理士にご相談ください。
沿岸荷役行為の例
船内荷役行為の例
港湾運送事業法の適用
港湾運送事業の適用される港は、以下のとおりです。
一般港湾運送、船内荷役、沿岸荷役、 はしけ運送、いかだ運送 | 指定港湾 (全国93港) |
港湾ごとに 許可が必要 |
検数、鑑定、検量 | 全国の港湾 | 1件の許可で 全国に適用 |
- 指定港湾の93港は、一種港、二種港、三種港に区分され、それぞれ施設、労働者数及び取扱貨物量の規模など許可基準が定められています。
港湾運送事業法の概要
① 運賃・料金の事前届出制
運賃・料金はあらかじめ届け出なければならず、料金には、以下の2種類があります。
在来荷役料金 |
等 |
革新荷役料金 |
等 |
② 下請の制限
港湾運送事業において、荷役作業を下請けに出すには制限があります。
①一般港湾運送事業者 ⇒ (下請) ⇒ 港湾荷役事業者等 | 〇 |
②港湾荷役事業者等 ⇒ (下請) ⇒ 港湾荷役事業者等 | 〇 |
③一般港湾運送事業者 ⇒ (下請) ⇒ 一般港湾運送事業者 | × |
④港湾荷役事業者等 ⇒ (下請) ⇒ 一般港湾運送事業者 | × |
原則として、
- 一般港湾運送事業者は、各月中に引き受けた「一般港湾運送」を行うについて、船内荷役、はしけ運送、沿岸荷役、いかだ運送といった種別毎に、それぞれの貨物量の70%以上自営しなければなりません
- 港湾荷役事業者等の「専業」事業者も、自らが荷主等から委託を受けた作業については、70%以上自営しなければならない。
なお、港湾荷役事業者等は、下請として作業を引き受けた場合は、100%自営しなければなりません(再下請の禁止)
港湾運送関連事業とは?
港湾において他人の需要に応じて行う行為(第2条第3項)であって、以下のものをいいます。
① | 船荷の固縛事業 |
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② | 船荷の梱包事業 |
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③ | 船倉内清掃事業 |
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④ | 警備事業 |
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- 港湾運送関連事業は、港湾運送の補助的行為。営利の有無を問わない。
- 港湾運送関連事業については、お近くの海事代理士にご相談ください。