海事代理士制度
海事代理士は、海事代理士法に基づき、海運事業者等の依頼者からの委託により、登記その他の海事法令*注1に基づく手続きおよびその書類作成を代理することが認められた国家資格者です。
海事代理士法は、昭和26年3月23日に公布(施行同年6月1日)されましたが、その前身は明治41年12月9日に制定された海事代願人取締規則による海事代願人制度でした。この制度は、大正、昭和と約40年間続きましたが、戦後新憲法の発布に伴い、海事代理士法による海事代理士制度として法整備されました。
令和2年2月末現在、海事代理士登録者は2,152人で、令和3年3月末時点で、一般社団法人日本海事代理士会に所属する海事代理士は383名です。
海事代理士が取り扱う業務は、「海事代理士の業務」のページで具体的に紹介していますが、一例を挙げると
- 船舶の登記に関する手続き
- 船舶の測度、登録に関する手続き
- 船舶の検査に関する手続き
- 船員手帳、船員の雇入、船員就業規則などの船員の労働条件に関する手続き
- 海技免状・小型船舶操縦者免許などの船舶に乗り組みための資格に関する手続き
- 船舶による旅客運送、貨物運送または港湾運送などの船舶運航事業に関する手続き
等があります。
例えば、船舶の売買等により所有名義を変更しようとする場合、所有権移転登記に始まり、船舶登録の変更や、船舶国籍証書や船舶検査証書などの書換え関する手続きが必要です。
また、船員配乗に関する手続きや、船舶運航事業に関する手続き等も必要となるなど様々な海事法令上の手続きが求められます。
当事者を代理してこれらの手続きを円滑に進めるのが海事代理士であり、相談に応じて適切な助言を行うとともに、書類作成から手続きまで的確かつ敏速に処理します。
*注1 海事法令とは「海事代理士法第1条に定めのある別表第2」に列挙された以下の法律です。
- 船舶法(明治32年法律第46号)
- 船舶安全法(昭和8年法律第11号)
- 船員法(昭和二十二年法律第百号)
- 船員職業安定法(昭和23年法律第130号)
- 船舶職員及び小型船舶操縦者法(昭和26年法律第149号)
- 海上運送法(昭和24年法律第187号)
- 港湾運送事業法(昭和26年法律第161号)
- 内航海運業法(昭和27年法律第151号)
- 港則法(昭和23年法律第174号)
- 海上交通安全法(昭和47年法律第115号)
- 造船法(昭和25年法律第129号)
- 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和45年法律第136号)
- 国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律(平成16年法律第31号)(国際港湾施設に係る部分を除く。)
- 領海等における外国船舶の航行に関する法律(平成20年法律第64号)
- 船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律(平成30年法律第61号)(有害物質一覧表及び同法附則第6条第2項に規定する相当確認船級協会に係る部分に限る。)
- 前各号に掲げる法律に基づく命令