船舶の登記

 

 船舶は本来動産ですが、総トン数20トン以上の推進機関を有する日本船舶(*注1)を航行の用に供する場合には、商法及び船舶法の規定に従って運輸局等において登録を行い、船舶国籍証書の交付を受けることが義務づけられており、その前提手続きとして所有権保存の登記を受けなければなりません。
 船舶登記は、(根)抵当権設定の登記など不動産登記制度に類似した点もありますが、製造中の船舶の抵当権設定登記や船舶管理人の登記など、船舶に特有の登記も存在します。なにより、船舶法という公法との関係上、登記された船舶の所有権移転等については、2週間以内に変更の事実を登記及び登録に反映させることが義務づけられるなど、登録制度との連携が厳格化されているところに特徴があります。

*注1
日本船舶とは、日本の官庁、公署に所属する船舶、自然人であれば所有者(または共有者の全員)が日本人である船舶、法人であれば構成員が一定の要件に該当する船舶(例えば株式会社の場合、その代表者全員が日本人であって、業務を執行する役員の総数の2/3が 日本人であることが要件となります。)をいいます。
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申請事項 内容
所有権保存登記申請 新造、輸入、小型船舶の総トン数が改造等により20トンを超えた場合など、初めて日本船舶を航行の用に供する場合(併せて新規登録と船舶国籍証書の取得が必要)、抹消船再用の手続
所有権移転登記申請 船舶を売買、相続、贈与等で取得した場合(併せて変更登録と船舶国籍証書の書換が必要)の手続
抵当権等設定登記申請 建造資金、購入資金の調達のため、抵当権、根抵当権、賃借権など船舶を担保に供する場合の設定手続
抵当権等移転登記申請 抵当権などが債権者間で移転した場合の担保権の移転手続
抵当権等変更登記申請 抵当権などの内容に変更が生じた場合の担保権の変更手続
抵当権等抹消登記申請 抵当権などが消滅した場合の担保権の抹消手続
登記名義人表示変更登記申請 所有者や債権者など、登記名義人の氏名、名称、住所などに変更を生じた場合の手続
船舶管理人選任(変更) 登記申請 船舶管理人の選任及び船舶管理人が変更した場合の手続

 なお、船名変更等に伴う表題部の登記事項の変更や解撤等に伴う登記の抹消については、所有者に運輸局対して登録の手続きを行うことが義務づけられており、事後的に運輸局が職権による嘱託登記を行うこととなっています。
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 船籍港とは、船舶の運航の拠点となる港をいいます。船舶所有者の所在地に定めるのが原則ですが、運航の拠点が船舶所有の所在地と異なる場合には、運航の拠点を船籍港と定めることができます。

 船舶を共有する場合は、船舶管理人を選任の上、登記しなければなりません。
 船舶管理人は、共有者の中から選任されるのが原則ですが、共有者全員の同意がある場合に限り、共有者以外の者を選任することができます。
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