旅客運送の手続き

 一般旅客定期航路事業及び旅客不定期航路事業を営もうとする場合は事業許可申請が必要です。
 又、人の運送をする内航不定期航路事業を営もうとする場合は、事業開始の30日前までに事業開始の届出が必要となります。

 一般旅客定期航路事業者及び旅客不定期航路事業者は変更報告又、人の運送をする不定期航路事業者は変更届出が必要です。

 一般旅客定期航路事業者は休・廃止届出、旅客不定期航路事業者は廃止届出が必要です。

 一般旅客定期航路事業者及び旅客不定期航路事業者は、運賃・料金の設定又は変更届出が必要です。

 船舶運航事業、船舶貸渡業、海運仲立業、海運代理店業の4種類があります。
 船舶運航事業には、定期航路事業と不定期航路事業があり使用する船舶、旅客定員、運航形態等により一般旅客定期航路事業、旅客不定期航路事業、人の運送をする内航不定期航路事業等に分類されます。

 船舶運航事業を行なう者に対し、船舶を貸し渡す場合(期間傭船を含む)は船舶貸渡業開始届出(事業開始の日から30日以内)が必要です。

 非旅客船(旅客定員12人以下)により港内乗船体験を行なう場合は、1日限りであっても人の運送をする内航不定期航路事業開始届出(事業開始の日の30日前までに)が必要です。
 また、乗船客が操縦体験をするのであれば、自己操縦免除確認申請も必要です。

 水上運航時は船舶として取り扱われますので、旅客定員、運航形態等により事業許可申請又は届出が必要です。

 非旅客船(旅客定員12人以下)により周遊観光事業を行う場合は、人の運送をする内航不定期航路事業開始届出(事業開始の30日前までに)が必要です。
 非旅客船(旅客定員12人以下)のみを使用するときは、運航形態にかかわらず当該事業に該当します。

 旅客船(旅客定員13人以上)を使用するとき、運航形態が航路一定、ダイヤの設定・公示をしない場合には旅客不定期航路事業の許可申請が必要です。
 使用船舶の入れ替え又は周遊コースの変更など事業計画に関する変更については、変更認可申請が必要です。
 但し、旅客船(旅客定員13人以上)を使用するときでも、航路が不定の場合は人の運送をする内航不定期航路事業として取り扱われます。

 業(他人の需要に応じた運送等)としなければ海上運送法の手続き不要です。
 但し、友人であっても乗船料を徴収して運送する場合は、業と見做されるため注意が必要です。

 旅客運送事業に使用できる船とは、旅客定員を有していることが大前提となり、旅客定員が13人以上を旅客船、旅客定員が12人以下を非旅客船として取扱い、運航形態などの違いにより旅客運送するための事業許可を受け又は届出した船が使用できます。
 外国人の営む海上運送事業(運送に関する協定等に係る規定を除く)に使用する船舶、内航海運事業や港湾運送事業に使用する船舶及び漁業に従事している船舶(漁船法第2条第1項の漁船)は、旅客運送事業に使用できません。

 旅客定期航路事業又は旅客不定期航路事業にあって、使用船舶(予備船を含む)の入替え及び使用船舶数の増減に関する変更の際は、事業計画変更認可申請を必要とします。
 又、使用船舶の主機の種類又は最大出力の変更、航海速力、旅客定員の変更(増減)については、事業計画の軽微な事項に関する変更の届出が必要です。
 但し、航海速力及び旅客定員の変更については、許可を受けた際の事業計画に記載のものより10パーセント以上増加し又は減少することとなる場合は、事業計画の変更認可申請が必要になりますのでご注意下さい。

 旅客定期航路事業又は旅客不定期航路事業にあって、就航航路を増設する場合は事業計画変更認可申請が必要です。
 又、人の運送をする内航不定期航路事業にあって、事業開始届に記載の就航航路を変更する際は、変更する日の30日前までに届出事項の変更届出が必要です。

 旅客定期航路事業及び旅客不定期航路事業にあって、桟橋を含む係留施設その他の輸送施設の概要について変更する際は、事業計画変更認可申請が必要です。

 「公共交通機関の旅客施設・車両等に関する移動等円滑化整備ガイドライン」に沿って、人に優しい船や港づくりの整備が進められています。
 一般旅客定期航路事業者(日本国籍を有する者及び日本の法令により設立された法人その他団体以外の者が営む対外旅客定期航路事業を除く)又は旅客不定期航路事業者がその事業に使用する船舶であって、乗降用設備、出入口、客室、車いすスペースなど各部にわたる技術的適合基準、又、旅客の移動に対応するための人的役務の提供についてもその基準が定められています。
 但し、一般定期航路事業の用に供する5トン未満の船舶及び旅客不定期航路事業の用に供する200トン未満の船舶は、基準の適用除外となっています。
 上記事業に使用する旅客ターミナル(輸送施設)についても、旅客の乗降、待合い等の設備についての技術的適合基準及び人的役務の提供についての基準が定められています。

 運航日程及び運航日時を定めている一般旅客定期航路事業を営む場合は、乗客がいなくても使用船舶を定時運航させる必要があります。
 又、乗客がいても使用船舶を運航してはならない場合とは、気象、海象などの情報収集に努め安全管理規程(運航基準)の定めに従い、船長が、状況を総合的に判断し運航の中止を決定した時です。

 旅客船に乗り組むために必要な資格等は、乗船する船舶の総トン数、航行区域及び機関出力により海技士免状又は小型船舶操縦免許が必要です。
 小型船舶操縦免許については「特定操縦免許」であることが必要になります。
 又、船員として乗り組むためには、船員手帳を受有し船員法に定める健康診断により健康証明を受ける必要があります。
 又、「旅客船乗組員の安全教育訓練」(受講後5年間有効)を受けなければ、旅客船に乗り組むことはできません。
 その他、乗船する船舶の種類・設備等の状況により必要な資格が変わりますので、最寄りの海事代理士にお尋ね下さい。