貨物運送の手続き

 内航運送とは、船舶による海上における物品の運送であって、船積港及び陸揚港のいずれもが日本国内にあるものをいいます。
 上記船舶には艀(はしけ)を含みますが、櫓櫂(ろかい)のみ又は主として櫓櫂をもって運転する舟、漁船法第2条第1項に定める漁船を除きます。
 内航海運業とは、内航運送をする事業又は、内航運送の用に供される船舶の貸渡しをする事業をいいます。
 但し、貸渡しには、期間傭船を含みますが、主として港湾運送事業の用に供される船舶の貸渡しを除きます。

 使用(所有)する船舶が、総トン数100トン以上又は長さ30メートル以上の場合は登録申請を、総トン数100トン未満且つ長さ30メートル未満の場合は事業開始の日から30日以内に事業開始届出を主たる営業所の所在地を管轄する地方運輸局に提出して下さい。

 登録事業者は、使用船舶の増加及び減少、使用船舶に関する総トン数等の変更に係る事項については変更登録申請を、社名・代表者名等の変更、貸渡先・借受先関係の変更に係る事項については軽微変更届出を、軽微変更の日から30日以内に主たる営業所の所在地を管轄する地方運輸局に提出して下さい。
 届出事業者は、事業者の社名・代表者名等の情報、使用する船舶の明細、貸渡し先及び運航に関する情報等事業開始届出の届出事項に変更あるときは、届出事項変更届出を変更の日から30日以内に主たる営業所の所在地を管轄する地方運輸局に提出して下さい。

 事業者が、船舶の売却などにより使用(所有)する船舶が無くなり内航海運業を営むことができなくなった場合であって、事業再開の意思(予定)がある場合は、事業休止の手続きに該当します。
 登録事業者は、使用(所有)船舶の減少にかかる変更登録申請書及び事業休止届出書を、届出事業者は、使用(所有)船舶の減少にかかる届出事項変更届出書及び事業休止届出書を、休止の日から30日以内に主たる営業所の所在地を管轄する地方運輸局に提出して下さい。
 事業休止の手続きを行なわず事業を廃止する場合は、登録事業者(届出事業者)は、事業廃止届出書(届出事項変更届出書)を、廃止の日から30日以内に主たる営業所の所在地を管轄する地方運輸局に提出して下さい。

 船舶による海上における物品の運送であっても、次のものは、内航運送として取り扱われません。

  • 櫓櫂のみ又は主として櫓櫂をもって運転する舟、漁船法第2条第1項に定める漁船によるもの。
  • 物品を単に廃棄することを目的とした運送に従事するもの。但し、埋立地(法律又は政令に基づく埋立区域)への物品の投廃棄は、単に廃棄するには該当しません。
  • 油送船以外の船舶であって、港内のみを運航するものによるもの。但し、港湾運送事業法の適用港において他人の需要に応じて行なう運送は、港湾運送事業の対象となります。
  • 起重機船、しゅんせつ船、海底電線敷設船、流出油を回収する船、オイルフェンス展張船、設標船等海上作業を目的とする船舶が、付随的に行なう運送。
  • 曳船及び押船が、艀、台船、筏、フローター、ケーソン、タンク、起重機船、しゅんせつ船、解撤船等を曳航又は押航する場合は、内航運送として取り扱いますが、本船の離接岸、水先案内及び海難救助のための曳航又は押航並びに土木建設に使用する作業船等の港内移動のための曳航又は押航は、内航運送として取り扱いません。

 使用する船舶の、総トン数、長さ、船種(用途)及び船舶の名称に変更が生じた場合は、所定の手続きが必要になります。

 運航形態は、以下のように分類されます。

  • 自営:自己の所有する船舶に、船員を配乗し自ら運航する基本的な形態です。
  • 定期傭船:船舶所有者(オーナー)が、船員を配乗し運航者(オペレーター)に期間を定めて船舶を貸渡し、運航者(オペレーター)の指示に従い運航する形態です。
  • 裸傭船:船舶所有者(オーナー)は、船体のみを期間を定めて運航者(オペレーター)等に貸渡し、運航者(オペレーター)等は、借り受けた船舶に船員を配乗し運航する形態です。
  • 運航委託:形態の上では定期傭船と同じですが、定期傭船と異なり航海ごとの運賃を船舶所有者(オーナー)が収受し、運航者(オペレーター)には、運航委託手数料を支払います。

 内航海運業として、内航運送の用に供される船舶の貸渡事業を営むためには、所定の船舶を1隻以上所有(又は共有、且つ船舶管理人)することが要件となっています。
 従来から、貸渡事業者から裸傭船により船舶の貸し渡しを受け、船員配乗後運航者(オペレーター)に貸し渡す形態(マンニング)が認められていたことから、現在では、自社の雇用船員を配乗する場合に限り、貸渡事業者から船舶の貸し渡しを受け、これを運航者(オペレーター)に貸し渡す行為のみを行なう事業者については、使用する船舶をもって所有する船舶と見做し、内航海運事業を営むことができます。

 内航海運業の用に供する船舶以外の船舶であって、総トン数100トン以上又は長さ30メートル以上のもので以下の要件を具備するとき、自家用船舶として届出ることで、内航運送の用に供することができます。

  • 届出船舶が、届出者の所有する船舶(自己所有船舶)であること。
  • 届出船舶には、届出者の雇用する船員(自己雇用船員)を配乗すること。
  • 届出船舶による運送が、他人の需要に応じるものでないこと。

 貨物利用運送事業とは、他人(荷主)の需要に応じ有償で、利用運送(自らの運送機関を利用し運送を行なう者(実運送事業者)の行う運送を利用して貨物を運送すること)を行なう事業をいいます。
 自社貨物を自らの需要に応じ実運送事業者に運送させる行為や、無償で貨物利用運送を行なう行為は、貨物利用運送事業にはなりません。
 実運送事業者とは、船舶運送事業者(海上運送法・内航海運業法の船舶運航事業を経営する者)として、貨物利用運送事業法第2条に定められています。